トマト祭りはもったいない?なんのために開催される?

スペイン東部・バレンシア州のブニョールという小さな街では、毎年8月の最終水曜日にトマトのお祭りが開催されます。

このお祭りの名前は、スペイン語で「ラ・トマティーナ」、日本語では「トマト祭り」もしくは「トマト投げ祭り」と呼ばれていて、名前の通り、トマトを投げ合うお祭りなのです。

このトマト祭りでは、たくさんの量のトマトが使われています。

何故たくさんのトマトを投げ合うのか、トマト祭りはどのような意図で開催されているのか、この記事で紹介していきますね。

目次

トマト祭りはもったいない?食べ物を粗末にしている?

トマト祭りに実際どれくらいの量のトマトが使われているのか、気になりますよね。

実は、約160トン以上、金額で表すと約3,000万円以上分のトマトが使われています。

このたくさんの量のトマトを、参加者は拾ったり投げたりしてみんなで楽しむのです。「トマト祭り」というより「トマト戦争」とも言えるほど激しく、そしてとても賑やかなお祭りなのです。

しかし、このお祭りに対して、

「こんなにもたくさんのトマトを使うのは勿体ない。」

「食べ物に困っている国にとっては贅沢な話だ。」という意見もあります。

たしかに、たくさんのトマトをただ投げ合って楽しむだけなら、ちゃんと食べてあげた方が良いのではないかと思いますよね。食べ物を粗末にしているように見えてしまいます。

ところが実際は、お祭りで使われているトマトは全部「訳ありトマト」だったんです。

虫に食べられていたり、西日で太陽が当たらず白くなっていたり、ジュクジュクと液状化しているものなど、商品価値のないトマトを使っていたんです。

国連の調べによると、地球上では食料の3分の1が「見た目が悪い」という理由で廃棄されています。この量は20億人が十分に食べることのできる量で、約7,500億ドルの損失になっているのです。

家で料理をする時も見た目が悪いという理由で捨ててしまうこと、ありますよね。私も思い返せばよくあります。

商品価値のない「訳ありトマト」がただ放置されて腐っていくだけになってしまうなら、お祭りでたくさんの参加者に使われて、楽しんでもらえるという使い道があっても良いかもしれません。

そして一方では、「訳ありトマト」を食べ物に困っている国に寄付するのはどうかという意見もあります。

しかし、虫に食べられているトマトや形がぐちゃぐちゃなトマトなどを他国に送るのはどうかという意見もあるのです。食べ物に困っている人達からすると、とても有難いことかもしれませんが、モラルがないとも思われるでしょう。

善意で寄付するなら、「訳ありトマト」ではなく新鮮なトマトを食べてもらいたいですね。

トマト祭りの掃除や片付けは大変?

トマト祭りは、1時間の間ずっとトマトを投げ合うお祭りです。すると勿論、街中がトマトまみれになってしまいます。

掃除が大変そうと思われるかもしれませんが、毎年のお祭りで掃除が一苦労するのは街の人も困ってしまいますよね。

まず対策として、事前に街中にビニールが掛けられます。ビルや建物、家具など、トマトが直接ついたら困るものにはビニールを掛けておくのです。

お祭りの片付けは参加者で行います。

お祭りが終わるのと同時に、散水車が街に入ってきて、放水を開始します。参加者も、ホースやバケツを使って街中のトマトを流していきます。

水の勢いでトマトは排水路に流れていき、約1時間後には街はすっかり元通りになるのです。

この大掃除のおかげで、街はとても綺麗になるようです!

トマト祭りはなぜ行われているのか解説 

そもそも何故トマト祭りが始まったのでしょう。

過去を遡ると、1940年代中頃に始まったと言われています。

何故始まったのかは未だに定かではありませんが、野菜売りの屋台で喧嘩が始まり、店先にあったトマトを投げつけたことが、始まりのきっかけだと言われています。

そして、また次の年も同じメンバーがトマトを投げ合ったそうです。

途中で何度か禁止にされたのですが、市民の要望が強く、1959年から市役所が決めたルールを守る前提として解禁され、トマト祭りが毎年行われるようになったのです。

2013年からは、トマト祭りの参加者は2万人限定とされ、事前にネットで予約が必要となり1人10ユーロのお金を支払うように変更されました。

お金を払うようになると街の人たちの参加は減り、参加者のほとんどが日本人観光客になりました。

集めたお金を医療費や教育費の削減に打ち出すために、スペイン政府は歳出削減を目指しているのです。

日本でトマト祭りはある? 

トマト祭りを日本でもやってみたいという思いから、東京の二子玉川にある多摩川河川敷を舞台に、2012年9月9日にトマト祭りを模したイベント「Tomatinia House」を開催する予定でした。

しかし、このイベントに対して「楽しそう!」「やってみたい!」という意見もあったのですが、「食べ物を粗末にするな!」「多摩川を汚す。」など、批判的な意見も多く寄せられ、イベント運営サイドは急遽中止することを発表しました。

一方、大阪の福島にある「スペイン横丁」でトマト祭りが開催されたことがあります。

「トマト祭り」と日本の「縁日」を融合させて「トマト縁日」と名付け、2019年8月16日〜9月8日に開催されました。

トマト縁日では、トマト型のボールを的に向かって投げる「トマト投げ」や、スーパーボールの代わりに本物のミニトマトをすくう「トマトすくい」のゲームが用意されていました。

1回300円ずつのゲームで、獲得した点数やトマトの数によって、いろいろなスペインのトマト料理が味わえる楽しいイベントになりました。

今のところ今後も開催される予定はありませんが、またいつか開催されると嬉しいですね。

トマト祭りはもったいない?なんのために開催されるのかまとめ

この記事では、トマト祭りとは一体何なのか、トマトを粗末にしているのではないかなどの疑問を解説しまとめました。

このトマト祭りは、2020年と2021年はコロナの影響で中止されていましたが、3年ぶりの2022年8月31日にやっと開催され、お祭りはとても盛り上がったそうです。

コロナでお祭りが中止になっている間、使われるはずだったトマトはケチャップとして限定販売されていました。

食べ物を粗末にせず、大切にしようとしている試みが伝わってきますね。

トマト祭りには現在も賛否両論があるようですが、現地の人は決して食べ物を粗末にしているつもりはなく、むしろ食べ物を無駄にしないように大切にしようと考えているのです。

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